米移住で「町は空っぽ」、コロナや通貨安でブラジル空洞化

https://jp.reuters.com/article/usa-immigration-brazil-idJPKBN2II08O

涙ながらの別離の末、アナ・パウラ・ソウザさん(23)は夫と幼い息子と共に米国へと旅立った。

ソウザさん一家の他にも、ブラジル南東部の小さな町アルパーカタを離れた家族は数百世帯に上る。

同国ミナスジェライス州の丘陵に抱かれたアルパーカタは、何十年も前から住民を北米大陸へと送り出している。だが、住民らがパンデミックに伴う失業や通貨レアル安による負担増、2桁台のインフレに苦しむ中で、オクラ栽培を主力産業とする地域は、しだいに集団脱出の様相を呈するようになった。

地元当局のデータによれば、人口約7500人のアルパーカタでは、今年すでに数百世帯が子どもを退学させ、米国行きの旅費を捻出するため家財道具を売り払ったという。

町内のパン屋は人手不足に悩まされ、市職員まで離職しつつある。地元のサッカーチームも選手がそろわない。

「アルパーカタは空っぽになりつつある」とソウザさんは語る。「誰も彼もが出ていく」

彼女は現在、米フロリダ州オーランドで暮らしている。建設労働者として働く夫の収入を補い、密入国あっせん業者と契約したときの借金1万5千ドル(約171万円)を返済するため、ケーキを焼いて家計の足しにしている。