ユネスコ無形文化遺産に登録された細川紙の産地、埼玉県小川町には銃後の悲しい歴史がある。太平洋戦争で風船爆弾に使われた気球紙の一大生産地となった。

学徒勤労動員の女学生らが極薄の気球紙5枚をコンニャクのりで貼り合わせると風船の原紙になる。町立図書館で実物に触れ、強度に驚いた。
戦後の米軍による調査で米軍使用のゴム引き気球布と比べ水素ガスが漏れにくい素材と判明した。

米本土への直接攻撃は心理的な動揺を狙った。爆弾をつるした約9300発が関東の太平洋沿岸から放たれ、米西海岸などに1割前後が着弾。ピクニック中の子どもたちが犠牲になったとの記録もある。

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