関西、関東より年収悪化 中間層の強化急務

関西経済連合会が岸田文雄政権と歩調を合わせ、中間層を支援すべきだとの提言をまとめた背景には、「企業の土台を支えてくれている中間層が厳しい状況に置かれ続けている」(常陰均・経済財政委員長)ことへの強い懸念がある。特に関西では、関東や全国平均と比べ中間層の収入悪化が著しいと指摘されており、対策は待ったなしだ。

関経連は年収300〜800万円の世帯を「中間層」と定義する。総務省の調査を基に、アジア太平洋研究所(APIR)がまとめた資料によれば、関西で同層にあたる世帯の割合は平成12年に62・2%、令和2年は62・4%で、この20年で一見変化はない。

しかし関経連は「関西の中間層の所得は低下している」とみる。事実、関西の年収500万円以下の世帯の割合は令和2年までの20年で10・5ポイントも上昇し、47・8%に達した。

2年時点で関東での割合は41・2%、全国平均は45・6%で、いずれも関西より低い。

さらに、年収1千万円以上の層の減少も顕著で、関西では平成20年に17・4%だった同層は、令和2年には9・6%にまで落ち込んだ。2年は関東17・1%、全国平均13%で、その差は歴然だ。

APIRの稲田義久研究統括は、その背景について、「関西では近年、訪日外国人客(インバウンド)の増大などで景気が拡大したが、観光関連産業で増えた働く多くの人は非正規雇用で、収入は低いままだった」と分析。高所得者層が減っていることは、「多くの関西の主要企業の稼ぐ力が伸びなかったことが要因だ」とした。

稲田氏は関経連の提言について「中間層の支援は評価できるが、デジタル化の促進などで企業の生産性が高まれば、人手はさらに余る。彼らの雇用の受け皿となる新産業の創出支援などにも、一層力点を置くべきではないか」と指摘している。
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https://www.afpbb.com/articles/-/3378542