一例を挙げよう。2015年、アメリカの韓国系市民団体がサンフランシスコ市で慰安婦像設置を求めた際、同市でこの問題に関する公聴会が開かれた。
日韓双方から発言者が出たが、日本側からはいわゆる草の根「保守」団体の構成員や自称市民が答弁した。曰く「(韓国側の元従軍慰安婦は)単なる売春婦で、嘘うそつきで、証言は捏造ねつぞうである」。まさしく日本の「保守派」が「従軍慰安婦は単なる売春婦で追軍売春婦」というトンデモ主張をそのままトレースして絶叫したのである。

これに対して同市のデビッド・カンポス市議(同委員)は、日本側出席者のヘイトスピーチを「恥を知りなさい」として一喝。日本側出席者はトンデモ論を繰り返すばかりで、かえって欧米人の心証を著しく悪くした。結局、サンフランシスコ市における慰安婦像設置案はそのまま韓国系市民団体の希望のまま通ってしまった。「従軍慰安婦は捏造で実態は売春婦」などという嘘の発言が、欧米人にも通用するものとして勇んで現地入りした日本の「保守派」が、一顧だにされずに逆に説教をされて完全敗北する。これが欧米人にとっての日韓問題に関する常識的な回答なのである。
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