水の中で生まれて大人になると陸に上がる「エゾサンショウウオ」の中に、陸に上がらずに水の中で暮らし続ける個体がいることを北海道大学の研究グループが発見しました。この個体は幼いときのエラや大きな尾ひれを残したまま大人になっていて、生物の生き方の多様性をうかがえる発見として注目されています。

新たな個体を発見したのは北海道大学の岡宮久規研究員たちの研究グループで、去年とことし、北海道南部の池の中を調べたところ、エラや大きな尾ひれがある大人の「エゾサンショウウオ」を3匹発見したということです。
「エゾサンショウウオ」は北海道の平地や山あいに生息していて、幼生の時を水中で暮らしたあと、大人になると姿や形を変えて陸に上がりますが、この3匹はエラや大きな尾ひれがある幼いころの姿のままで大人になっていました。
生物が幼いころの姿のままで大人になる現象は「幼形成熟」といわれ「ウーパールーパー」が有名ですが、研究グループによりますと日本に生息するサンショウウオで確認されるのは89年ぶりだということです。

研究グループは水の中のエサが豊かであることなど環境の条件がそろい、さらに「幼形成熟」できる遺伝子を持った「エゾサンショウウオ」が水の中で暮らし続けるのを選んだ可能性があるとしていて、岡宮研究員は「サンショウウオの進化を知る手がかりにしたい」と話しています。

https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20211209/7000041006.html