安倍元首相「5人に帰国の働きかけ強めた」 02年の日朝交渉めぐり
北朝鮮による拉致被害者家族会と支援団体「救う会」は10日、国会内で拉致問題セミナーを開いた。安倍晋三元首相が講演し、2002年に北朝鮮が拉致を認め、被害者5人が帰国した経緯を説明。米朝関係の悪化を予測して、5人の帰国にむけた働きかけを強めたとした。
安倍氏は02年9月17日、小泉純一郎首相が訪朝して金正日総書記（いずれも当時）と初の日朝首脳会談に臨んだ際、官房副長官として同行。安倍氏によると、北朝鮮は日本人拉致を認め「5人生存8人死亡」と伝達した際、5人について「必ずしも日本に帰りたいと思っているわけではない」と伝えてきたという。
同年10月初めにケリー米国務次官補が訪朝し、直後に来日。「北朝鮮が核開発を進めている明確な証拠を得た」と日本政府に内々に報告した。
報告を聞いた安倍氏ら政府関係者は「拉致被害者5人には直ちに日本に戻ってもらわないといけない。米朝関係が厳しい状況になると、5人の帰国も難しくなる」と判断したという。その結果、「5人に帰国するよう働きかけを強めた」ことが10月15日の帰国実現につながったと振り返った。
北朝鮮が核開発を認めた事実は翌16日、米国務省が発表した。（編集委員・北野隆一）
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