https://h-navi.jp/column/article/35028471

●親族へのカミングアウトは避けられない
「子どもに障害があり、帰省して親戚に会うとき、障害について話した方がいいのか、またどう
説明したらいいのか分からない」という質問を知人から受けました。

私は正確に伝えた方がよいと思います。その理由は2つあります。
わが子の障害について、今はごまかしていたとしても、今後の親戚づきあいの中で
お葬式や法事、結婚式など冠婚葬祭は避けられないでしょう。

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先日、私の叔母が亡くなりました。息子にとっては遠い親戚です。
新型コロナ感染拡大防止の自粛生活の中、「身内だけでやる寂しいお葬式になるので、参列してほしい。
○○君(息子)も来てほしい」と言われました。
定型発達であれば、焼き場で待っているときなど、神妙な顔をしてじっとしているものでしょう。
ですが息子は、20歳になった今も長時間じっとしていられません。このときも、スマホで好きなトイレの動画を見ていました。

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喪主へは「ご愁傷様でした」と言うのよと伝えたら、「ご先祖様でした」と言い間違えたりもしていましたが
親戚には、障害について息子が2歳のころから知らせているので、その光景を誰も不思議とは思っていない様子で
気兼ねなく参加できました。

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(監修者・鈴木先生より)
冠婚葬祭のときにどうするかと患者さんの親からよく質問されます。
親族の方々には正直にお伝えした方がいいとお話ししています。
そして今回の事例でもスマホでトイレの動画を見ていたように自分の好きなこだわりのものを持っていくことをお勧めしています。
柔らかいものが好きな子はポケットの中に柔らかいものを入れてずっといじっています。カードが好きな子は何枚ものカードを
じっと見ています。逆にこういう機会を通じて自閉スペクトラム症や知的発達症についてみなさんに知っていただくことが重要
ではないかと思います。
そして、学校の授業でも性教育と同様に神経発達症についても教えていく必要があると思います。世の中にはさまざまな
病気がありますが、クラスの中で病を抱えた子がいたらそういう機会に先生がその都度その病気の説明をし、皆で協力して
支えあっていく精神を宿らせていくことが重要なのではないでしょうか。