京王線独自の「準特急」が廃止へ 「特急」の停車駅増加はどんなメリットがあるのか?

(中略)

 その「特急」と「準特急」が統合され、特急は現在の準特急の停車駅と同じになり、「特急」を名乗る。
 詳しく見ていこう。

(中略)

 準特急に変化が訪れたのは、2015年9月のダイヤ改正である。この改正で、準特急は笹塚・千歳烏山に停車するようになった。笹塚に停車するのは都営新宿線の接続のためで、千歳烏山は利用者が多いからである。

 これまで千歳烏山は、急行以下の列車種別しか停車せず、時間帯によっては10分に2本程度という状況であった。都心へ急ぐ人のために、準特急の千歳烏山停車を増やし、利便性を向上させた。あわせて、区間急行は調布以東では仙川にも停車するようになった。

 この状況で、もはや特急と準特急を分けるものは、高尾線内での主要駅停車と全停車、新宿〜調布間の笹塚・千歳烏山停車しかなくなった。しかも高尾線内では、列車の緩急接続をできる場所が、ないのである。いっぽうで、特急が準特急を追い抜くダイヤというのも設定されていない。

(中略)

 そこで、特急と準特急を別々に設定する意味もなくなってしまったというわけだ。笹塚で乗り換える人も多くおり、その人たちは場合によっては笹塚で区間急行や各駅停車に乗り換え、さらに明大前で特急に乗り換えるという二度手間を強いていたという問題もある。千歳烏山の準特急停車も地元の人には好評なのだろう。

(中略)

 ただ、鉄道は二拠点間の利用を主に考えるのではなく、途中駅利用者の利便性もまた重視しなくてはならない。京王線ならば、調布や府中などの利用者は重視すべきものであり、京王八王子よりも利用者は多い。新しく特急が停車することになった笹塚や千歳烏山も、京王八王子より利用者は多い。

(中略)

ただ、京王線の笹塚〜仙川間の高架化、あわせて緩急接続駅の増加などが近い将来行われるようになる。そのころには、「京王ライナー」用5000系とは別の、加減速性能にすぐれた車両が登場し、全体的な所要時間が短縮されていることが考えられる。現在、京王線では1980年代から90年代にかけて投入された7000系が古参の車両として活躍しているものの、新型で高性能の一般向け車両が投入され、全体的な到達時間短縮に寄与することを期待したい。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kobayashitakuya/20211214-00272430