どちらも波乱続きだが、「米国株」より「日本株」を海外投資家が“圧倒的に冷ややか”に見てる理由

アクセルを踏むべき時にブレーキを踏む

 しかし、日本株の上値は重い。日本では岸田文雄首相が22年度の金融所得課税の強化は先送りしたものの、依然として意欲を示している。住宅ローン減税の縮小、自動車関連税の見直し議論なども進む。

 また、GoToトラベル実施は年内が見送られ、規模も縮小気味。エコノミストは「コロナ後に経済のアクセルを踏むべき時に、ブレーキを踏みつつあるように見える」と指摘する。

 12月9日に発表された12月第1週の2市場(東証・名証)の主体別売買動向によると、外国人投資家は現物・先物合計で8273億円の売り越しとなった。

 この週は新型コロナウイルス感染症の新しい変異株「オミクロン型」への警戒で、株価が大きく下げた11月29日、30日が含まれている。南アフリカでオミクロン型発見と伝わり急落した初日の11月26日を含む11月第4週でも、外国人投資家は同6539億円の売り越しとなっていた。

 2週合計で1兆4812億円の売り越しであり、株価の下落は外国人投資家が主導だったことが明白だ。なお、今年年初からの外国人投資家は計2兆8060億円の売り越し。直近の2週間で半分を売っている計算だ。

 オミクロン型の感染拡大で下げたように見える日本株だが、海外市場の堅調な戻りを見ると、売りの要因は「日本固有の要因」ともみることも出来そうだ。

 日経平均が今年、年初来安値を付けたのは8月20日の2万7030円。この直前に発表された日本の4〜6月のGDP成長率(速報値)は1.3%。米国の6.5%、欧州の8.3%に比べて極端に低い。

 新型コロナからの再開が進む欧米に対し、日本が遅れていることが主因で、外国人投資家は成長率の低い国の株式を売るという行動に出たものとみられる。なお、日本の7〜9月期のGDP成長率はマイナス3.6%だった。

 海外勢が日本株を見直すには、まず、コロナ禍からの経済再開が必要に思える。ワクチン接種証明を活用した旅行などレジャーの促進や、劇場・スポーツ観戦などの入場制限の撤廃。政府が後押しする格好でのレストランや居酒屋への支援。政府としては支出を最小限に、経済を活性化させることが出来る分野でもある。

 短期的に見れば、株式市場は戻りを試すことも想定される。売り主体だった外国人投資家がクリスマス休暇に入っているためだ。

 また、12月に株式の新規上場が33社というIPOラッシュが需給に響いている面もあるが、年内には一巡する。11月中旬までに発表された企業決算は想定よりも良好で、外部環境が落ち着けば見直し余地は大きい。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d51641642df55792f4977e52a66aed9d93737365?page=1