わら仮面で歌う「ママー」、アイルランドのクリスマス伝統
歌や踊り、寸劇を披露し、一度は衰退するも伝統が復活

アイルランドでは少なくとも400年前から、クリスマスシーズンになるとわらの仮面をかぶった人々「ママー」が家々を回り、芝居や詩、歌、踊りなどを披露してきた。1900年代半ば、北アイルランド問題が勃発したこともあり、この風習はほぼ消滅したものの、近年、再び活気を取り戻している。

ママーによるパフォーマンス「マミング」が復活したのは、国中でクラブが結成され、クリスマス前にショーを行っているおかげだ。その一つが、リートリム県のアーティスト、エドウィナ・グキアン氏が7年前に地元で立ち上げた巨大プロジェクト。
地元の農家から集めたわらで仮面やドレスを手づくりし、12月になると、300人以上の若いママーが家々を訪ね、グループでパフォーマンスを披露している。最後に、わらの衣装をたき火で燃やし、イベントはクライマックスを迎える。

マミングの起源は、この地にキリスト教が広まる以前にさかのぼると広く信じられているが、そうした起源にまつわる物語は事実より言い伝えに近いという。

昔のママーは顔を隠し、ぼろぼろの衣装をまとい、手には棒を握り、恐ろしい外見だったと語るのは、アイルランド国立大学ダブリン校でナショナル・フォークロア・コレクションの責任者を務めるクリストファー・マッカーシー氏だ。
彼らは前触れなく家に入り、パフォーマンスを始めた。温かく迎える住人もいれば、子供が怖がるという理由で追い出す人もいた。いずれのケースでも、ママーたちは訪問するだけで報酬を得ることができた。

歌や踊り、音楽演奏、物語を披露するため、家を訪ねるママーたち。1927年撮影。歴史的に、ママーは若い男性で、パフォーマンスの見返りとして家主に支払いを求めていた。
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わら仮面を身に着けた「ママー」たちがクリスマス前、隣人たちに披露するパフォーマンスの準備を行っている。アイルランド、リートリム県で撮影。
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