「あの人の送迎イヤや」無言で胸触るしぐさ、母親はすぐに気付いた…男に懲役10年判決

 「知的な障害のある少女が未熟だと知りながら、犯行を繰り返した」。運営していた放課後等デイサービスに通う少女にわいせつ行為を繰り返した男(40)に、高松地裁は懲役10年の実刑を言い渡した。小学生だった少女に対し、2年5か月に及んだ犯行。障害児の信頼につけ込む性的虐待は後を絶たない。(畝河内星麗)

 「あの人の送迎、イヤや……」。少女は今年1月、自宅で、ためらいながらも、母親に男への嫌悪感を初めて口にした。

 障害があり、知能は6歳程度。「どうして?」と母親が尋ねると、少女は無言のまま自分の胸を触るしぐさで表した。母親はすぐにわいせつ行為だとわかり、香川県警に被害届を出したという。

 判決によると、男は2018年8月〜今年1月、高松市内のマンションの非常階段などで、9〜12歳だった少女に乱暴したり、わいせつな行為をしたりし、その様子をタブレット端末などで撮影していた。少女の母親の証人尋問によると、少女は難しい言葉を理解できず、物事をはっきり伝えるのも苦手。小学2年の頃から、男が運営する放課後デイを利用していた。

 「誰にも言っちゃだめだよ」。施設長だった男は少女に口止めした上、送迎時の車内や施設付近のアパートなどでわいせつ行為に及んでいたという。

 少女はしばらく小学校にも通えなくなった。母親は「信頼して娘を預けていたのに、絶対に許せない」と憤った。

 被告人質問などで、男は施設の利用期間が長かった少女に「特別な思い入れがあった」と説明。少女の障害について「自分の意思を言えず迎合的なところがあった」とし、「嫌がっていないと勘違いした。スキンシップの延長だと思っていた」と語った。

 検察側の求刑は懲役13年。近道暁郎裁判長は9月の判決で、「常習性が高く、少女の人格を全く考えない極めて悪質な犯行」と指摘。男は控訴せず、判決は確定した。
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