コロナ禍において、移動手段としての自動車需要のアップにくわえ、お金を使う対象を趣味へと向ける人が増えたことも理由に考えられる。その傾向は海外でも同じで、グローバルでもロードスターの販売は好調だという。
さらに驚くのは、若いユーザーが増えていることだ。ロードスターのユーザー層は、2020年で言えば30代以下が15%、40代が27%、50代が35%、60代以上が23%で、平均すると51歳であった。
ところが2021年は、30代未満のユーザーが15%から30%へと倍増。平均46歳と、5歳も若返ったのである。
「990Sの記事を見て、興味を抱いてディーラーに足を向けた方が多かったようです。ただし、若い方が結果的に購入するのは、装備のより充実したSパッケージになっています」とマツダの国内販売本部の二宮誠二氏は説明する。
990Sのヒットに対して開発主査の齋藤氏は、「軽井沢の記事があったことで、いろいろな反響が寄せられています。今時点では、ものすごい手ごたえを感じています。本当に、このクルマを(主査になって)最初に企画できてよかったと思います」という。
ここで思い出したのは、この夏にホンダの新型「シビック」を取材したときの経験だ。シビックは、若者向けといいながらも319万円からという強気のプライスで登場した。
「若い人向けに、そんな高い値付けでいいのか」とホンダの開発者に尋ねれば、「今の若い人、特にジェネレーションZ(25歳以下)の方たちは、本質を重視する傾向が強い。価格は二の次で、本当に良いモノであれば、高くても買う」と返ってきた。
若い世代には「良いモノであれば高くてもいい」という層が一定数、存在するというのである。
もしかすると、そのような層にロードスターの本質を追求した990Sのコンセプトが刺さったのかもしれない。本質に注目する若者たちが、これからの日本のマーケットを主導するとなれば、それほど悪いことではないのではなかろうか。若い層の動きに要注目だ。
https://toyokeizai.net/articles/-/476915