その竹中氏について筆者が以前から注目してきたのは、中国における評価の高さである。

特に小泉政権で閣僚に任命されたころから、その言動は特に中国の「改革派」知識人やメディアから常に高い注目を集めてきた。中国の代表的なIT企業、百度(パイドゥ)が運営する「百度百科(中国版ウィキペディア)」の「竹中平蔵」の項目では、彼が小泉政権時代に行ってきた様々な改革を中心に詳しい人物紹介がなされており、しかもその記述のほとんどは彼の経済改革の手腕を高く評価する内容で占められている(「竹中平蔵」『百度百科』、2020年9月4日アクセス)。

日本の著名な経済学者で「百度百科」で紹介されているのは故・宇沢弘文氏、故・青木昌彦氏、野口悠紀雄氏など数名しかおらず、いずれも竹中氏ほど詳しい記述はなされていない。さらに、彼が2007年に北京大学で行った講演録とその後の学生との対話が書籍化された『竹中平藏:解読日本経済与改革』(新華出版社、2010年)のほか、すでに多くの著作が中国語に翻訳されているほか、後述するように有力なメディアや、中国で開催された国際的なシンポジウムにも数多く登場している。

中国メディアが竹中氏を形容する際には「日本経済を最もよく知る人物」「改革の総指揮者」「経済改革の皇帝」「日本の王安石(中国宋代に大胆な改革を成功させた官僚)」「中国で最も人気の高い日本の経済学者」など、ほぼ絶賛といってよいほどのキャッチフレーズが冠せられることが多い。

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