銭湯などの公衆浴場で子どもの「混浴」は6歳まで-。栃木県は2022年1月1日から、男女の混浴を制限する年齢を「12歳以上」から「7歳以上」に引き下げる。年齢制限の見直しは1949年の県公衆浴場法施行条例の制定後、初めて。事業者からは「保護者にも利用客にも理解を得られる」と歓迎の声が上がる一方、連れ去りや事故など安全面を懸念する意見もある。

厚労省は20年12月、「子どもが混浴を恥ずかしいと思い始める年齢は6、7歳が多い」などとする研究結果を踏まえ、年齢制限の目安をおおむね「10歳以上」から「7歳以上」に改正。各都道府県にも通知し、全国で条例改正が進む。

地方自治研究機構(東京)の調査では、今年1月1日時点で年齢制限を「7歳以上」としていたのは全国で京都府のみ。「10歳以上」が最多で28都道県、最も高い「12歳以上」は栃木県を含む4県だった。

県は9月議会で条例改正案を可決。銭湯や健康ランド、スポーツ施設に併設された温浴施設など約480カ所が対象になる。県生活衛生課は「条例制定時と現在では子どもの発育状況も異なる。子どもと親、(第三者の)大人のそれぞれの立場を考え見直した」とする。条例改正は、保健所を持つ宇都宮市も行っている。

年齢制限の引き下げを受け、事業者の反応はさまざまだ。県公衆浴場業生活衛生同業組合事務局の宝湯(宇都宮市若草1丁目)ではこれまで、利用客や保護者から「何歳まで入っていいのか」と聞かれることが少なくなかったという。

店主の稲垣佐一(いながきさいち)さん(72)は「条例に定められたことで納得してもらいやすい」と好意的だ。さらに「親にとっては子離れの機会になる。子どもが他の大人からマナーなどを教わるのも一つの経験だ」と話す。

一方、宇都宮市今泉3丁目、ザ・グランドスパ南大門の神山隆行(かみやまたかゆき)営業運営課長(48)は、宿泊や飲食などを備える施設なだけに「不特定多数の人が訪れる。もしも連れ去り目的で声を掛けられたら、小学校に上がりたての年齢の子に判断できるだろうか」と気をもむ。

浴場にはプールなどもあり、万一の事故も懸念材料という。同店では年齢制限を周知する貼り紙に「お子様だけの入浴は大変危険」と明記し、必ず保護者も一緒に入るよう呼び掛けている。

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