京都府営の向日台団地(向日市)で、ハトが急増し、住民が被害に苦しんでいる。建て替えが決まって入居者募集が止まり空室が増えた上、住人が高齢者施設などに入所して長期不在となり、荷物が放置されたままの部屋も多く、ハトが巣を作りやすい環境となっている。住民はふんや羽音に頭を悩ませ「団地全体が巣になってしまった」と途方に暮れている。

 団地の住人女性(43)宅を訪れると、ベランダはふんと羽で覆われ、木の枝や卵も転がり窓は開けられない状態だった。防鳥ネットにハトが絡まって死んでいたのを見たことがあると女性は話す。「掃除してくれていた夫も、最近は心が折れると言ってやってくれない。無理ないよね」とあきらめ顔だ。

 「毎日ふんの掃除をして、ノイローゼになりそう」と約40年前から住む別の女性(77)もため息をつく。2、3年前に隣の住人が施設に移ったころ、ベランダにハトが増えた。ふんで配水管が詰まり水浸しになったことも。至近距離からの鳴き声や羽音で早朝に目が覚めるようになったほか、悪臭や飛び交う羽毛で、のどの不調も感じると訴える。

 鳥害対策を請け負う「日本鳩対策センター京都」(大津市大萱1丁目)によると、ハトは三方が囲まれている場所を好み「室外機や植木鉢の隙間は、格好のすみかとなる」という。一度営巣すると簡単には離れず、舞い上がったふんが人の体内に入ると感染症を引き起こす恐れもあると説明する。駆除依頼は学生減少で空き部屋が増えたアパートや、ベランダがあまり使われない老人ホームからもあり、京滋では事業を始めた2012年は4件だったが、昨年は26件、今年は10月までに22件と急増している。

 府住宅課は長期不在の部屋にハトがすみ着いているとは把握していなかったとしている。同団地では495戸のうち2割程度が空き家になっているが、長期不在世帯数は不明という。「家賃が支払われている以上、勝手に部屋に入ることはプライバシーの問題にも関わるため対応はしかねる」としている。
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