[香港 19日 ロイター] - 香港で19日実施された立法会(議会)選挙は、投票率が過去最低の30.2%となった。
「愛国者」と認められた人のみが立候補者できる制度に変更されてから初の選挙で、当局は土壇場で投票率の引き上げを図ったが、有権者の関心は低かった。

5年前の選挙の投票率は58%で、これを大幅に下回った。英国からの返還以降のこれまでの最低は2000年の43.6%だった。

新たな選挙制度は海外の政府や人権擁護団体などから批判され、主流の民主派政党は候補者を擁立しなかった。

香港政府は18日、市民に一斉にテキストメッセージを送り、投票するよう求めた。

香港バプテスト大学のジャンピエール・カベスタン政治学教授は「政府が高い投票率の確保を狙っていたのは明白だ。そうしなければ、選挙の正当性が否定される可能性があるからだ」と指摘した。

新たな選挙制度下で、立法会の定数は90に増え、直接選挙枠が全体の半分から約4分の1(定数20)に減った半面、親中派が占める選挙委員会が3分の1超を選出する形となった。
香港では、国家安全維持法(国安法)の下で民主派への締め付けが強化され、多数の活動家が拘束されている。

選挙当日は電車やバスを含む公共交通機関が運賃を無料にしたため、駅などは混み合ったが、投票所に人混みはなかった。

ピーターと名乗る21歳の学生は「深刻な抑圧下で、投票を拒否することがわれわれの不満を表明する唯一の手段だ」と語った。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は投票締め切り後に声明を出し、130万前後の票が投じられたことは「改善された選挙制度への支持の表れ」だとの見方を示した。

政府の発表によると、選挙前には白紙投票を呼び掛けた10人が逮捕された。
https://jp.reuters.com/article/hongkong-election-idJPKBN2IY0M0