昨年の大統領選で、第3党からの出馬を宣言して話題となったラッパーのカニエ・ウエストだが、選挙活動が、トランプ氏の再選を助ける取り組みの一環だったのではないかとの疑惑が浮上した。

米メディア、Daily Beastは17日、カニエの選挙キャンペーンに「隠れた共和党参謀のネットワーク」が関与したほか、カニエの選挙活動委員会は、顧問料などの支払いを適切に開示しておらず、両者の関連を隠そうとした可能性があると伝えた。

戦略家には、共和党のエリートや、国内有数の保守系政治ファームの共同経営者が含まれるという。

同サイトによると、カニエの選挙活動の中心を担ったのは、共和党や保守派の非営利団体と深いつながりのある法律事務所、ホルツマン・ヴォーゲル社だった。また選挙管理委員会の開示資料から、カニエ陣営にリーガルサービスを提供した同社を含む一連の法律事務所が、トランプ氏および共和党と関係しており、このうちの半数が、選挙後に展開された選挙不正に関する訴訟に関わったことも判明したという。

開示資料や裁判資料を調査したワシントンの監視団体「Citizens for Responsibility and Ethics」の広報担当、ジョーダン・リボウィッツ氏は、陣営が作成した帳簿は、ホルツマン・ヴォーゲルのようなエキスパートが担当したにもかかわらず「めちゃくちゃ」で「疑うに十分」と指摘。「カニエの選挙陣営の真の目的はドナルド・トランプを再選させることだったことは明白だ」と述べ、「それがカニエ本人の狙いだったかどうかはまた別の問題だ。だが、カニエは明らかにバイデン氏から票を奪うために都合が良いと見られていた」と加えた。

リボウィッツ氏はまた、ホルツマン・ヴォーゲルのパートナー、ジル・ヴォーゲル氏は、共和党の資金オペレーションを調査するとよく登場する名だと説明。「彼女と法律事務所は、保守派のファンドレイザーのトップの人物らと関係している」と語った。

カニエ陣営の関係者も同サイトに、少なくとも昨年7月以降、ヴォーゲル氏が「すべての背後にいた」と明かしている。

カニエはかつてトランプ氏の熱烈な支持者だったが、2020年7月に、自ら大統領選挙に出馬すると表明。新党「バースデーパーティー」を立ち上げ、ブラックパンサーに登場するワカンダ国のような政権運営を目指すと発表した。当時、出馬の真意を巡ってさまざまな憶測が飛び交ったが、結局、候補者登録が間に合ったのは12州で、主要な活動は、テキサス州で行った集会と選挙直前に製作したキャンペーンビデオにとどまった。

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