■アベノマスク配布前にマスク輸入量は回復

いまも安倍氏の支持者らが根強く信じている“神話”が、「アベノマスクの配布によって市場のマスク不足が解消し、
価格も下がった」というものだ。廃棄表明のニュースを受けて、こんなツイートが。

《アベノマスクは、コロナ禍でマスクが不足して、マスクの買い占めなどで価格が高騰しているときに無料でアベノマスクを配布することで
マスクの価格破壊を起こして、マスク市場を安定化させたという意味で、抜群の成果があったと思います》
《世の中の人ってアベノマスクの有り難さを理解出来てないの?! あのおかげで不織布マスクの価格が元に戻って市場に戻ってきて、
アルコール等の消毒薬も高騰を免れたんだよ。 大正解の政策を、なぜ感謝しないの?》

だが、政府統計を見ると、アベノマスクによって、マスクの供給量と価格が正常化したという主張には疑問符がつく。

もともと、日本で流通するマスクのおよそ77%は輸入品だった(2019年度、一般社団法人日本衛生材料工業連合会ホームページより)。
昨年春に国内でマスク不足になったのは、新型コロナウイルスの世界的流行のために、世界中でマスク需要が高まった結果、
マスクの輸入量が激減したことにある。

不織布マスクは、世界共通のHSコード(輸出入統計品目番号)で「6307.90 029」に分類される。
財務省貿易統計によると、コロナ前の2019年の総輸入量は12万7,300トンで、中国産はおよそ85パーセント(10万8,724トン)を占めていた。
だが、2020年2月には中国からの輸入量が激減し、全体の輸入量も前年比56%にまで落ち込んだ。
しかし、3月には90%まで回復し、4月からは前年を大きく上回っている。

https://news.goo.ne.jp/article/jisin/nation/jisin-https_jisin.jp_p_2051416.html