「枝野さん、せっかくの本を、説明から逃げる道具にしないで」
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最大野党である立憲民主党の枝野幸男代表が、約9年ぶりとなる新著「枝野ビジョン 支え合う日本」(文芸春秋)を刊行した。旧民主党時代の2014年(!)から書き始め、今秋までにある次期衆院総選挙に「なんとか間に合わせて出版することができた」のだという。

率直に記します。254ページの新著を付箋片手に読みながら、東京支社報道部の野党担当である私は、ひそかに興奮してしまった。消費税やエネルギー政策など、枝野氏が日ごろの記者会見ではなかなか正面から答えてくれないテーマについても持論が展開されていたからだ。

 特に、政策実現に必要な財源について書かれた部分には感動すら覚えた。

《財源問題に目をつぶり、充実した社会保障だけを唱えても説得力はない。『お互いさまで安心できる支え合いの社会』を作るためには、『大きな財政』は避けられない。効率的な『小さな政府』と『大きな財政』は両立するが、『小さな財政』で安心できる支え合いの社会を作るのは不可能だ。政治はこのことから逃げてはいけない》

 そうなんです、枝野さん。選挙戦であれをやる、これをやるとぶち上げるのは簡単。問題は、その財源についてどこまで説得力ある説明をできるか。旧民主党政権が国民から失望されたのは、「事業仕分け」や「(特別会計の)埋蔵金」といった財源捻出論が破綻したことにも一因があったと思う。