マーライオンの目 バリ島観光客「45人」の衝撃

「煩雑な手続きを経て入国し、まず見るのは隔離先の壁だ。誰がそんな愉快≠ネ休暇を送りたいと思うだろうか」。
知己のインドネシア人ジャーナリストがこんな言葉を口にした。
新型コロナウイルス禍が長期化し、海外観光客をあてにしてきた現地の観光業は「建国以来のかつてない打撃」が続いていると話した。
その言葉は数字にも表れている。
米CNNテレビによると、1〜10月に世界的な観光地であるインドネシア・バリ島を訪れた外国人観光客は45人にとどまった。
空路は国際線が軒並み運休で、わずかな観光客は個人所有の船など海路で到着した人とみられている。
2019年のバリ島の海外観光客は約620万人だったことから、大打撃どころの話ではない。
観光立国が多い東南アジアは今年、インドネシアに限らず、「防疫と観光再開をいかに両立させるか」という課題に悩まされた。
各国はワクチン普及を受けて手探りで国境開放に乗り出したが、「オミクロン株」流行が影を落としている。
タイは11月から観光客の隔離免除措置を開始したが、一時停止を余儀なくされた。
各国は国内観光客を重視する姿勢を見せているが、外国人の穴を埋められるかは未知数だ。
「かつてない打撃」にどう対応するか。各国の苦悩が続くことは間違いなさそうだ。
https://www.sankei.com/article/20211224-ZGM7MRCLMRMSNHHO7S5XHT7PAQ/