英の経済紙フィナンシャル・タイムズは「Six Abenomics lessons for a world struggling with ‘Japanification’」のなかで、「アベノミクスは成功したのか」という問いに対してはっきりと「ノー」と答えている。
理由としては、アベノミクスの中心的な目標はインフレ率を2%にまで引き上げることだったが、実際には1%程度にしか到達しなかったことが挙げられている。

とはいえ、アベノミクスが行ってきた金融緩和に関しては一定の評価を与えた。
特に日銀が大量の資産買い入れに乗り出した2013年当初の「黒田バズーカ」は極めて効果的だったと指摘している。
円安が日本の産業界に恩恵を与え、融資は増加し、日本は安倍首相時代に記録的な就業率を達成したと分析した。

問題点としては、まず消費増税が挙げられている。
「アベノミクスが失敗したのは、2014年春に日本の消費税が5%から8%に引き上げられた日だった」と振り返り、2019年の10%への増税も含めて、安倍首相は日本を不況に陥れた責任があると批判。
刺激を約束しておきながら、抑制をもたらしてしまったことが、アベノミクスが失敗した理由だと振り返った。

また抜本的な構造改革が果たされなかったことも失敗の原因として挙げられている。
電力市場の自由化や、農協改革などを通じて一定の成果は見せたが、人口減少傾向にある日本社会の経済を拡大させるような改革には至らなかった。
仮に「大規模な移民流入」に踏み切っていれば経済拡大の可能性もあったが、そのような選択肢も現実的ではなかった。
安倍首相はアベノミクスの第三の矢として「成長戦略」を掲げていたが、実際には有効な戦略などなかったのではないかと疑問を呈している。

https://forbesjapan.com/articles/detail/36843/2/1/1