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東京 歌舞伎町「トー横」に未成年集まる 犯罪ケースも 実態は

東京 歌舞伎町の中心部に「自分の居場所がない」といった中学生や高校生などが集まり、周辺の安いホテルなどで寝泊まりして生活する未成年もいます。
犯罪に巻き込まれるケースもあり警視庁が実態の解明を進める一方、根本的な対策が必要だという声も出ています。

東京 新宿区歌舞伎町の中心部にある大型商業ビルの周辺、通称「トー横」と呼ばれる場所に3年ほど前から中学生や高校生などが集まってたむろするようになり、こうした若者は「トー横キッズ」と呼ばれています。

捜査関係者によりますと、合わせて100人以上に上るとみられ、SNSを通じて誘い合い関東近郊だけでなく全国からやって来て、周辺の安いホテルやネットカフェで寝泊まりしながら生活している未成年もいるということです。

喫煙や飲酒、援助交際などが確認されていて、警視庁は今月の初めの深夜に警察官などおよそ100人が出てパトロールを行い、中学生と高校生など17人を補導しました。

周辺では事件やトラブルも相次いでいて、先月には40代の男性が雑居ビルの屋上で18歳の少年2人を含むグループに殴られて死亡しました。

また、集まって来る子どもたちをねらった犯罪も多く、ことし10月には16歳の女子高校生にわいせつな行為をして動画を撮影したとして21歳の容疑者が逮捕されました。

薬物事件や性犯罪に巻き込まれるケースも少なくないということです。

関係者によりますと「学校や家庭に居場所がない」と話す中学生や高校生も多くいるといいます。

「トー横キッズ」 その素顔は
今月中旬の深夜、東京 歌舞伎町に集まっていた未成年のグループに話を聞きました。

都内から来たという男子中学生は、親から暴力を受けたこともあって「家に帰りたくない」と話し、暴行された時のものだという腕の傷を見せてくれました。

居場所を求めて歌舞伎町に来るようになったということですが、トラブルに巻き込まれてけがをしたこともあったということです。

男子中学生は「この場所は『児童館』みたいなもので、自分と同じような境遇の人たちが集まっている。治安が悪いと思うが、地元に戻るよりはマシだと思っている」と話していました。

また、ことし7月に友人からの誘いで家を出て歌舞伎町に来たという15歳の少女は、安いホテルの部屋に大勢で宿泊し転々としながら生活していると打ち明けました。

少女は、生活費を得るためにSNSで知り合った男性に会い、性的な関係を持って5000円から7000円を受け取っているということです。

スマートフォンには見知らぬ男性からのメッセージが20件ほど送られてきていました。

少女は「ホテルの値段が上がってきょう泊まるところがないのでどうしようかと思っている。大人に利用されているとも感じるが、元の生活に戻ることはできないと思う」と話していました。
相次ぐトラブルや事件 警視庁が対策強化
歌舞伎町では「トー横キッズ」と呼ばれる中学生や高校生などが関係するトラブルや事件が相次いでいます。

先月には40代の男性が2人の少年を含むグループに暴行を受けて死亡したほか、ことし5月には薬物を摂取したとみられる10代の男女が建物から飛び降りて亡くなりました。

また、未成年が詐欺グループに誘われたり性犯罪に巻き込まれたりするケースも確認されていて警視庁が実態の把握を進めています。

警視庁は、今月初め、私服の警察官などおよそ100人を動員して大規模なパトロールを行い、中学生や高校生など17人を補導しました。
NPO代表「社会全体で対策考えていく必要」
若者の性被害などの問題に取り組んでいるNPO法人「ぱっぷす」は、ことし5月から夜間に歌舞伎町を見回ったり、SNSを利用して声をかけたりする活動を行ってきました。

ただ、子どもたちとじっくり話をすること自体が難しく、携帯電話などでやり取りを継続しようとしても突然連絡が取れなくなることも多いため支援は困難だといいます。

NPOの代表の金尻カズナさんは「居場所がないと感じる子どもたちがSNSを通じて歌舞伎町に集まって来るようになった。新型コロナでいろんな制限があり友人どうしで集まる場所が少なくなったことも要因の一つと考えられる。警察などが補導しても一時的な対症療法でしかなく居場所がないと感じる子どもたちをどう支援していくか、行政や民間を含め社会全体で対策を考えていく必要がある」と指摘しています。