強引に本番しようとする女性客も…

「ホテルでのプレイよりも、前後のやり取りに時間がかかる。一度に多数の指名客、またはSNSの予備軍とやり取りするだけで一日がつぶれます……。あと、中年女性と手をつなぎ、若者だらけの繁華街を歩いたのはキツかったです。手をつなぐのも最初は善意で一回やったら、それがお客さんの当たり前みたいになっちゃって。今更言い出せなくて、毎回そのお客さんとは駅までの15分くらいは無料サービス状態です。常連客のなかには、自分に対しどこまで無料でサービスしてくれるかで、自分の女としての価値を試そうとする人もいます。そして何かあったら『客だろ?』って上から目線なのもキツい。あとは勃起してないと怒る人もいるので、精力剤を手放せなくなりました」

店のマニュアルとして、初指名の際に水とお茶を買って女性客に選んでもらうというのがある。ハルキは本指名になった客にこれをやらなくなった。すると、彼のSNSには長文の苦情メッセージが届いたという。

「お客から『最初に比べて雑になったよね、手を抜いてるよね』と言われました。正直イラっとしました……。お茶出しのサービスは、こっちがお金を出してやってる善意なんです。ほかにもムカつくことは多々ありますよ。終了予定時刻を過ぎてもホテルを出ようとしない人とか、強引に本番しようとする人とか。女性が働くデリヘルならば店が助けてくれるんでしょうけど、女風は基本、キャスト任せ。店にはLINEで『入りました』『出ました』と報告するだけ。それで料金から半分以上の取り分をもっていくんですから、ヒドいっすよ」



「正直、失敗したと思っています。店を通してないってことは、特別感も生まれてしまう。性的サービスを買うというよりも、一緒にいる関係とかにお金が発生している感じが強くなる。だから下手に拒否をすると、お客さんの精神状態が悪くなる、いわばメンヘラになる。さらに彼女たちは『私はほかの客と違うでしょ!』みたいなマウントまで持ち出してくる。これ、そのお客さんから来たLINEなんですけど、ちょっとすごくないですか?」

セラピストの対応で自分の「女らしさ」を確かめている
「あなたはほっておくと、ご飯すら食べないんじゃないかなって心配して、会うときは食事に誘ったり軽食をもって行ったんです。ハルキを大切に思ってるからこその好意なのよ。一緒に出掛けたり、ご飯を食べて『おいしいね!』と共有するのが楽しかった。あなたも楽しかったでしょ? だから4時間分はいらないと思わない? いまはお店を通してないから、渡すお金の全額がハルキの手に渡ってる。普通に考えて時給1万なんてもらえる仕事なんてないよ? その辺も本当に私のことを大切に思っているならば、考えてほしいです」

ハルキのケースのように、女風の客はセラピストの対応次第で自分の「女らしさ」を確かめているケースが多い。前述したようにセラピストが勃起しているかを確かめたり、本番行為をねだって応えてくれるかを見ている客がいるのだ。彼女たちが利用する匿名掲示板では、「私はかわいいから本番をしてくれた」「あのセラピストはどんなブスでもすぐ本番するよ」などの書き込みが目立つ。

また、そんなセラピストにガチ恋している自分を認めたくないのか、「所詮、女の股を舐めないと生きていけない男」「学歴もないし今後どうなるんだろう?」「あんな接客で稼げるわけないのに」「バター犬のくせに」などの侮蔑的発言も散見される。夜の仕事への差別や攻撃的な発言は、男女ともに一定数あるもののようだ。


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