遺伝学的には、この問題の答は明白である[2]。ニワトリを含む動物では、母親の卵細胞と父親の精子の
DNAが受精することにより配偶子(新しく生まれるニワトリの最初の細胞)が作られる。
配偶子は数え切れない回数の細胞分裂を繰り返し、動物の個体を形成する。
動物個体を形成する全ての細胞は同じDNAを持ち、それは配偶子に由来している。
ニワトリの祖先からニワトリへの進化は、母親DNAと父親DNAの新たな組み合わせや、
配偶子を生じるDNAの突然変異(=両親の生殖細胞における突然変異)などの、
ちょっとした"変化"により引き起こされたと考えられる。これらの”変化”は、
新たなニワトリの配偶子が生じるときに初めて現れるものである。つまり、ニワトリ祖先種の両親が
交配した結果、最初のニワトリを生じさせるような"変化"を含む配偶子のDNAが形成されるのである[2]。
ノッティンガム大学のジョン・ブルックフィールド教授は、
「卵の殻の中にいる生物は、将来成長して鶏になる個体と全く同じDNAを持っている。
したがって、明確にその種に属するとわかる最初の一個体は、最初の卵(として生じた)と考えられる」
と述べている[3]。つまり、鶏ゲノムを持つ最初の鶏は、最初の鶏の卵から発生したのである。