ロシアの人権団体「メモリアル」の解散を命じたロシア最高裁などの判決について、欧州連合（EU）や米国、英国が12月31日、判決は不当だと批判し、ロシアに人権を守るよう呼びかける共同声明を出した。メモリアルなどを、「外国の手先」を意味する「外国エージェント」に指定する法制度も強く非難して、プーチン政権への厳しい姿勢を改めて示した。
【写真】ロシアの人権団体「メモリアル」傘下の中核団体に解散を命じる判決を出したモスクワ市裁判所に集まった人たち=2021年12月29日、ロイター
メモリアルは、旧ソ連スターリン政権による粛清の犠牲者の名誉回復に取り組み、ロシアの人権運動をリードしてきた。これに対して、ソ連の歴史を美化するプーチン政権が敵対姿勢を強めている。
EU、米、英のほかカナダ、豪州による共同声明は「ロシア当局は、メモリアルの活動が過激主義やテロを正当化すると主張しているが、受け入れられない。メモリアルの活動が今ほど求められる時はない」と指摘した。さらに「メモリアルの口を封じる不当な判決は、独立系メディアや反政権派への抑圧強化に続く動きで、国際社会でのロシアの評判をいっそうおとしめる」とした。
ロシア最高裁、モスクワ市裁判所は12月28、29日にそれぞれ、「外国エージェント」に義務づけられた当局への財政報告を怠ったなどとする検察側の主張を認め、メモリアルや、その傘下の中核団体の解散を命じた。
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