https://news.yahoo.co.jp/articles/cd6c525fa20e3389b09659e221d7bba07a6d7c00
「年をとったら、粗食にするほうがいいんだ」
「最近、肉とかの脂っこいものは避けているんだよ」
「年寄りのひとり暮らしだし、食べられる量を少し食べていれば十分」
みなさんの高齢の親御さんは、こんなことを言い始めてはいないでしょうか?  もし、似たようなことを言っていたとしたら、注意が必要です。脅かすわけではありませんが、こういう食事を続けていたら、いつの間にか衰えて、寝たきりや要介護になることもあるかもしれません。

※本稿は佐々木淳氏の著書『在宅医療のエキスパートが教える 年をとったら食べなさい』から一部抜粋・再構成してお届けします。

 なぜなら、高齢者の場合、食事量の減少や摂取栄養の低下が「衰え」を進ませる大きなきっかけになるから。年をとってからの食事量低下や低栄養は、てきめんに筋肉量減少・体重減少につながってしまいます。

 また、筋肉量や体重が減ると「転倒骨折」や「誤嚥性肺炎」を起こすリスクが高まり、もし骨折や肺炎になって入院でもしようものなら、いっそう筋肉が落ちて衰弱が一気に進んでしまうようになります。

 つまり、巷で流行っているから……という理由で、「粗食でいい」「一汁一菜でいい」「簡素な食事で十分だ」などと言っていると、高齢者はいずれ衰える一方となってしまう可能性が高いわけです。

 こういった衰えの悪循環を防ぐ唯一の手段が「しっかり食べること」。高齢者が人生のラストステージを健康に生きていくには、「日々しっかり食べること」が必須であり、年をとればとるほど、ちゃんと食べるようにしていく姿勢が求められるのです。

■「カロリー」と「たんぱく質」が不可欠

 具体的にどのようなものを食べるのがいいのか。まず、高齢者の食の基本は「1にカロリー、2にたんぱく質」です。これを合い言葉にして、毎食、おいしくしっかりと食べること。守るべきことは、ほとんどこれに尽きます。

 カロリーは私たち人間が生きていくために必要な「熱量(エネルギー)」です。この熱量が足りていないと、体は自身の筋肉のたんぱく質を分解してエネルギーをまかなおうとし、それによって筋肉や体重が減っていってしまうようになります。