読者の広場
女の気持ち

心の中のお守り 岩手県遠野市・佐々木順子(主婦・60歳)
2022/1/3 東京朝刊

 50年近く前のこと。ある日、外は大荒れの吹雪に見舞われていた。子ども心にただならぬ状況を察し、いつやむとも知れぬ雪を教室から眺めた。下校時、昇降口は不安そうな表情で待機する子どもたちであふれていた。

 続々と学校に保護者が駆けつけ緊張感に包まれる中、母の姿を見つけた。安心したのもつかの間、母は帰宅を急いだ。意を決してドアを開けると、瞬時にしみるような寒さが建物に入り込む。

https://mainichi.jp/articles/20220103/ddm/013/070/021000c