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中国を拠点に活動する北朝鮮工作員が、北朝鮮の外貨獲得活動に日本企業を利用した疑いがあるとして、警察当局が「 諜報ちょうほう 事件」に認定していたことがわかった。

複数の捜査関係者によると、工作員は「リ・ホナム(李虎男)」という偽名を用いる60歳代の男で、北朝鮮の対外工作機関・偵察総局に所属。外国投資を管轄する「対外経済省」幹部など複数の肩書を持つ。

警察当局は、国連の経済制裁下にある北朝鮮が外貨獲得のため、国際的な信用のある日本企業に目を付けていたとみている。

捜索では、貿易会社などが14〜18年頃、リビアの重油やロシアの液化天然ガス(LNG)などを買い付けて転売するとする契約書類や、取引額の一定割合をリ・ホナムに仲介手数料として支払うといった書類が複数押収されたという。

一方、貿易会社の関係者は契約時期の前後にロシアなどに渡航していたほか、関係者からリ・ホナムに「送金が遅れる」と伝えるメールもあったという。警察当局はこれらを踏まえ、外貨獲得活動が行われていた可能性が高いと判断し、諜報事件と認定した。

警察当局は、仲介手数料はリ・ホナムがリビアなどの政府関係者に取引を働きかけた報酬に当たる可能性があるとみている。