中国へデータ漏洩の心配無用…「国産ドローン」販売開始、災害時・測量で活用
データ抜き取りや操縦の乗っ取りを防ぐ「国産ドローン」を官民が開発し、販売が始まった。ドローンは測量や災害の被害状況の把握など、機密性の高い情報も扱う。中国企業が強く、データも中国国内のサーバーに保存されるケースが多いため、国産化でデータ保護の強化につなげる。
「 蒼天そうてん 」と名付けられたドローンは幅約64センチ、重さ1・7キロ。ドローン開発の新興企業「ACSL」(東京)やNTTドコモ、ヤマハ発動機などの民間企業と、政府や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が共同で開発し、先月7日から販売を始めた。
約30分の飛行が可能で、撮影用とは別のカメラを使って機体を制御する仕組みを取り入れた。風速15メートルの強風の中でも飛べるという。
特徴は、取得したデータや飛行経路などに関する情報を即座に暗号化する点だ。データは国内のサーバーに保管する。悪意を持った第三者によるデータ抜き取りや操縦の乗っ取りがしにくくなる。日本の周辺海域にある離島の測量や災害時の捜索活動などでの活用を見込む。
蒼天のような小型のドローンは、世界シェア(市場占有率)の8割程度を中国企業が握る。通信データや撮影画像、飛行経路などの情報は専用アプリを通じて中国のサーバーに保管されるケースが多く、情報漏えいへの懸念が高まっている。
コロナ禍のような混乱が起きた際に必要な部品が手に入りづらくなることを避けるため、蒼天の部品はほぼ国内製を採用した。
ドローンは測量や橋や道路といったインフラの点検など幅広い分野で活用が進んでいる。2022年末までに、改正航空法の施行で、管理者が目視できなくても市街地などで自動飛行させることが可能になり、利用の場がさらに拡大する。20年度に約1800億円だった国内のドローン市場は、25年度に約6400億円にまで成長すると見込まれている。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220104-OYT1T50139/
https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220104-OYT1I50061-1.jpg
https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220104-OYT1I50059-1.jpg