3年半前の総務省の調査では、一都三県には空き家が203万戸もあります。

全国の空き家の4分の1が首都圏にあるのです。
一戸に2名住むとして人口が400万人増えないと埋まらない。

でも過去5年間の増加は51万人で、しかも80歳以上しか増えていない。

「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来〜首都圏でさえこの惨状…
無計画な開発の果てに
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51118

藻谷 首都圏の苦境は昭和町どころではありません。いわゆる世間の常識とは逆ですが。
確かに「若者の流入が加速する東京」とも言われるように、東京・埼玉・千葉・神奈川の首都圏一都三県の人口は最近5年間に51万人増えました。
うち42万人が、首都圏外から流れ込んできた現役世代です。

ですが総人口はどうでもいい。生産年齢人口は増えているか、高齢者は増えていないのかが、経済や財政には重要なのです。

最近5年間の首都圏には生産年齢人口42万人が流れ込んできたと言いましたが、それではこの間に首都圏の生産年齢人口は、結局何人増えたでしょうか?

野澤 45万人増くらいですか。

藻谷 答えは75万人の減少です。

野澤 えっ。減っているんですか?

藻谷 そうです。その一方で首都圏一都三県では、この5年間に、65歳以上の住民が134万人も増えたのです。

野澤 134万人……。

藻谷 さらに、そのうち80歳以上だけを取り出すと52万人の増加です。この5年間で総人口が51万人増、うち80歳以上が52万人増ですから、つまり増えたのは80歳以上だけで、79歳以下は減っている。
高度成長期以前に上京した若者が加齢した結果ですが、昭和町よりもはるかに激しい高齢化です。

藻谷 空き家も大量に発生します。

3年半前の総務省の調査では、一都三県には空き家が203万戸もあります。

全国の空き家の4分の1が首都圏にあるのです。
一戸に2名住むとして人口が400万人増えないと埋まらない。

でも過去5年間の増加は51万人で、しかも80歳以上しか増えていない。

以前、知り合いの新聞記者に「お台場の現在の人口構成と40年前の高島平の人口構成を調べたら面白いよ」と言ったところ、真面目に調べてきたんです。

そうしたら2つの人口ピラミッドがぴったり重なっていた。

つまり、お台場の高層マンション群も、40年後には現在の高島平のような高齢化が進んだまちになる。

密集して建てられたお台場の超高層マンション群の多くは分譲ですから、住人が入れ替わりにくく、ローンを抱えたままそこで年を取っていく人々が続出する。

これが首都圏の現実です。

野澤 やがて首都圏にいる865万人もの高齢者も亡くなってゆく。そのときに、住んでいる家を誰かがうまく相続して住んでくれればいいんですが……。

藻谷 今の乳幼児は団塊世代の半分なので、相続人も足りない。日本は想像を絶する「家余り時代」に突入するのです。