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なぜ懐かしのVHSソフトが高騰しているのか レンタル落ちでも数万円で取引

懐かしの家庭用ビデオテープ規格「VHS」の映像ソフトが高値で取引されているという。1990年代に隆盛を極めた後、DVDに押されて徐々に姿を消していったVHSだが、動画配信全盛のいま価格が高騰しているのは、どんな背景があるのか。

 フリマアプリ「メルカリ」では、数多くのVHSソフトが出品されているが、人気ゲームをテレビアニメ化した「星のカービィ」のVHS34本セットが「レンタル落ち」と表記されているにも関わらず、10万円で取引されている。人気カードゲームをアニメ化した「遊戯王」VHS9本セットは7万2000円で取引されていた。

人気ドラマや舞台作品のVHSセットも高値で取引されており、同様の現象は他のオークションサイトでも確認できた。未開封とみられるVHSの録画用テープも数千円での取引があった。

 VHSは日本ビクター(現・JVCケンウッド)が76年に初の家庭用デッキを発売、ソニーが開発した「ベータマックス」と激しく争った。

 ベータのテープも、フリマアプリやオークションサイトで高値取引されている。こちらの「ビデオ戦争」はいまも熱戦を繰り広げているようだ。

 日本映像ソフト協会の統計によると、ビデオカセットの販売のピークは98年で、年間約5232万本、2120億円を売り上げた。その後、DVDビデオの台頭で2001年に逆転を許し、10年以降は販売データが発表されていない。
なぜいまになって高騰する商品があるのか。VHSをネット販売しているホビーショップ「駿河屋」を展開するエーツーの担当者は「DVD・ブルーレイ化されていないことが大きな要因で、すでに数が少ない上、VHSは劣化もあるため希少価値が高くなっている。またコロナ禍でおウチ時間が増えたことも高騰の理由になっている」と説明する。

 購入者層については「コレクターや投資目的での購入が多いとみられるが、購入者の年齢層が高いため、価格が上がり続けるわけではないだろう」と述べた。

 アニメのように若者でも認知度の高い作品は総じて高騰傾向にあるようだ。駿河屋でも1万円以上の値を付けたVHSが数点販売されている。

 20年9月には、TSUTAYAの旗艦店「SHIBUYA TSUTAYA」が約6000タイトルを取りそろえたVHSビデオのレンタルコーナーを設けるなど人気は根強い。押し入れからお宝発見も夢ではない。