https://news.yahoo.co.jp/articles/265f8170303a198900763b6f5ed591885d81b23f
女性による女性のための相談会実行委員会によれば、2日間で相談に訪れた女性は10歳代から80歳代までのべ169件にのぼった。相談は人それぞれケースが違い、原因も複合的だということだが、生活困窮に陥ってしまったきっかけと、そこから抜け出すことが困難な実例について、実行委員の松元千枝氏にお話を伺った。
誰にとっても生活困窮のきっかけになりうる就労の問題
ーー生活困窮に陥るきっかけとして、就労の問題があると聞きましたがどのような相談がありましたか?
松元氏:そもそも女性には、パートやアルバイト、派遣などの非正規雇用が多いため、もともと数カ月という短期雇用の仕事をコロナ切りされて、やむを得ず日雇いの仕事で食いつないでいたという例が複数あります。
今回は、さらにフリーランスや個人事業主のための緊急支援金が打ち切られるので、先の生活が不安という女性や、海外からの観光客を対象として事業を行っていたが、コロナが長引く中で生活に窮したという女性もいました。いずれにしろ、コロナ禍が長引く中で収入源が断たれたままの人が多いように思います。
情報の入手や受給申請が簡単ではない!制度の問題
ーー生活困窮者向けに様々な行政の支援制度がありますが、どう利用されているのでしょうか。
松元氏:制度について知らない人が多い一方で、知っていても申請を断念してしまうケースもあります。行政用語がわかりにくかったり、当事者目線で制度設計がされていないことが原因だと考えられます。利用していても制度を使い切れていない例も多数あります。
例えば、「住宅確保給付金」を申請する際には大家の印鑑が必要です。しかしこれを申請すれば大家に失業中だと知られると同時に支払い能力がないと思われて、契約が更新されないかもしれないと不安を抱えている人がいました。こうした理由から、申請をためらってしまうようです。
また、10万円の生活支援を受けながら職業訓練を受講する休職者支援制度について、正社員を1年以上続けないと受給できないと誤解していた方がいたので、相談員が正しい情報を伝えました。
個人事業主の女性は、売り上げが半減以上した事業支援策として月上限10万円が支給される月次支援金が10月で終了したため、ギリギリの生活を強いられていました。それ以降の支援策が提示されず売り上げが伸び悩む中で、利用できる制度について知りたいと相談に来ました。子育て世帯だけではなく、住民税非課税世帯にも臨時特別給付金10万円が支給されることも知らない方が多かったです。
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