https://news.yahoo.co.jp/articles/a19db78b82f9a2c908f8bbd4726edc2851f7984c

「初めての生理は20歳の時でした」女性アスリートたちの経験談が浮き彫りにする、スポーツと生理の悩み

「生理痛がひどくてトイレで気を失ってしまいました」「初めて生理がきたのは、引退後の20歳の時でした」ーー。アスリートが生理にまつわる経験をリアルに語るプラットフォーム「アスリートと生理100人プロジェクト」がSNSで公開されている。

仕掛け人は、女子サッカー選手で、同性パートナーがいることを公表している下山田志帆さんと、元女子サッカー選手の内山穂南さん。ボクサーパンツ型吸水ショーツの企画開発で知られる「Rebolt」の共同代表である二人が、「生理のアタリマエ」への問いかけとすべく立ち上げた。

トップをひた走るアスリートは、時には競技の妨げにもなる生理の存在に悩みながら、自分なりの生理との向き合い方を模索してきた。そんなアスリートの姿が、プロジェクトを通して映し出されている。

アスリートとの対話の中で得た生理に関する“気づき”、そしてプロジェクトを超えて訴えたいメッセージを、二人に聞いた
「生理とアスリート100人プロジェクト」はなぜ始まった?
アスリートと生理100人プロジェクトは文字通り、生理と付き合いながら競技を続けるアスリートや、それを支える監督ら100人のリアルな声を届ける企画だ。下山田さん、内山さんがインタビュアーを務め、アスリートへの取材の一部始終が「note」にて公開されている。

世間では「生理=辛くても我慢するもの、他人には話すべきでない隠すもの」との認識がまだ強く、他人と生理について語り合う機会は限られてきた。プロジェクトは、そんな社会の“アタリマエ”に風穴を開けるチャレンジでもある。

「私自身現役の女子サッカー選手であり、性的マイノリティの当事者でもあり、かつ女性の身体の持ち主でもあるとなった時に『普通はこうあるべきだ』という考え方に精神的にも、身体的にも悩まされてきました。この固定概念をどうやったら無くせるのか。そう考えた時に、生理の悩みや向き合い方を一人ひとり知っていく作業が必要だと感じました」(下山田さん)

アスリートを取り巻く課題の中で、生理を選んだのには理由がある。

「簡単に言えば、当事者性がすごく高い分野だったからです。私達の考えとして『普通はこうあるべき』というものを無くすには、一つの切り口や視点からでは解決できないと思っています。アスリート、LGBTQ、女性の身体を持つ人という3つの側面から悩みをシェアできるのが、生理というキーワードでした」(下山田さん)

二人が抱えてきた生理の原体験もまた、プロジェクトや吸水型ボクサーパンツの企画を始めるに至った理由でもあった。二人はともに「生理用品を買う心理的ストレスが苦痛だった」と口を揃える。

「私自身は身体的苦痛はほとんどなく、それよりも生理用品を買うときの心理的苦痛の方が辛かったです。ドラッグストアで自分が生理用品を買っている姿を想像するだけでも嫌でした」(内山さん)

ピンクやパステルカラーのファンシーなパッケージが並ぶ生理用品売り場。いかにも“女性らしい”空間に立ち入ることに、大きな抵抗があったという。下山田さんの場合は、心理的ストレスとともに、身体的苦痛とも戦ってきた。

「私は心身ともに苦痛が大きくて、生理痛も排卵痛もけっこうありました。生理痛で朝起き上がれないことは今でもあります。今でこそ『腹痛で休みます』と言えるようになりましたけど、高校大学の部活動のときは『お腹痛いくらいなら薬飲んで出てこい』っていう感じでしたし、それこそ生理で休むなんて言えませんでした。今でも同じような思いをしている子どもたちがいるのかなと思うと、どうにかしたいと思います」

「生理用品を買いに行くのは今でも嫌で、パートナーに買ってきてもらっています。産婦人科に行くのも抵抗があり、ピルを処方してもらうために行った時も心理的に屈辱感がありました」(下山田さん)

既存の生理用品に対する違和感は、ボクサーパンツ型吸水ショーツ「OPT」へとも昇華している。女性らしさを取り除いたシンプルなデザインと、運動時にも耐えうる機能性への評価が高く、今夏に発売した第一弾のアイテムは完売。中高生年代からの引き合いも強く、サイズ展開を増やした改良版の発売を来年に控えている