[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「微アル」。

 アルコール度数が1%未満の「微アル飲料」が好調だ。昨年は大手メーカーが新商品を相次いで投入し、「微アル元年」とも言える1年だった。ノンアルコール飲料も工夫を凝らした商品が続々登場している。「酔わないお酒」はなぜ増えているのだろうか。

0・5%でもビールの味わい

 「もう0.5パー(%)でええんちゃう?」

 お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さん(58)が缶からグラスに注いだビール風の飲み物をおいしそうに口にし、満足そうに語りかける。昨年11月から全国放映されたアサヒビール「ビアリー」のテレビCMだ。

 ビールのアルコール度数は通常5%ほどだが、6月に全国発売されたビアリーはわずか0.5%。ビールを醸造した後、アルコール分だけを丁寧に抜き取る独自の蒸留技術で、麦のうまみとコクを実現したという。飲んでみると、確かにビールの味わいだが一向に酔いが回らない。

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「酔わないことがカッコイイ」

 日本では1980年代に多くのノンアルコールビールが販売された。当初はクルマの運転など「飲みたいけど飲めない」時に選ばれる傾向が強かった。しかし、ビール大手関係者は「近年は『積極的に飲みたい』という人が増えている」と話す。

要因の一つが、メーカーによる製造技術の向上だ。かつてに比べて風味が格段に上がった商品が増えている。

 消費者側では、若者を中心に「酒離れ」が進む。

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さらには、価値観の変化もある。お酒を飲まないことを選択する生活スタイル「ソーバーキュリアス」は欧米の若者を中心に定着しつつあり、日本でも関心が高まる。「しらふの(sober)」と「好奇心の強い(curious)」を合わせた造語からは「酔わないことがカッコイイ」という風潮が読み取れる。

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