世にあふれる多くの「時短」レシピ本、料理家のレシピによく登場するものの、「安部ごはん」には一切出てこないものがあります。それは「めんつゆ」です。
「めんつゆ」は、「麺のつゆ」の範疇を大きく超えて、煮物、炒め物、どんぶり物、お好み焼き、和風パスタと万能調味料のように使われています。
しかし、「いくら時短で手軽」だからといって、何でもかんでも「めんつゆ」を多用するレシピが溢れるこの風潮に、私は異を唱えたいのです。
というのも、長年、加工食品を開発してきた「食品のプロ」の立場から見ると、「めんつゆ」の「便利さ」の裏側には、「3つのカラクリ」が潜んでいるからです。
「便利さ」にだけフォーカスするのではなく、その「裏側」と、そこに潜む「深刻な問題」も知ったうえで使ってほしいのです。
【カラクリ→問題1】「簡単・便利」→化学物質も同時に体内に摂取
【カラクリ→問題2】「オイシイ」→「素材の味」「繊細な味」がわからなくなる
【カラクリ→問題3】「安い」→「添加物を駆使したしょうゆ」のことも多い
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いまや人気料理家も堂々と「めんつゆ」を使ったレシピを発表する時代です。料理教室も「めんつゆ」「だしの素」を使わないと、生徒が集まらないという話も聞きます。
しかしプロの料理家が「めんつゆ」「だしの素」を使ったレシピを教えていることに、私は拭い難い違和感を覚えます。
「いくら便利で簡単だからといって、料理を教える立場にいるプロの人が、添加物や化学物質を、知らないうちに大量に摂取するようなレシピばかり勧めていいのか」
「化学物質の『オイシイの味』ばかりに慣れて、『素材の味』や『繊細な味』という本来の『おいしいの味』がわからなくなる、味覚を麻痺させかねないものばかり推奨していていいのか」
それを「知ったうえで便利だから、安いから」使う消費者のみなさんには「使う自由」がもちろんあるわけですが、少なくとも「食のプロ」を自任するような料理研究家のみなさん一人ひとりに、
「それで本当にいいんですか?」と問いかけたい思いでいっぱいです。
「素材本来のおいしさ」、調理の技で引き出された「ホンモノの味」を、読者の人が知る機会を奪って、本当にいいのでしょうか、と。
https://toyokeizai.net/articles/-/463069