南太平洋のトンガ諸島で15日午後1時すぎ(日本時間)に起きた海底火山の噴火。
太平洋周辺の広い範囲に津波が到達したとみられるが、現地の詳しい被害状況がまだわからない。

 日本のラグビーチームのスタッフとして働く大阪府東大阪市のタウファ統悦(とうえつ)さん(41)は同日午後2時ごろ、
故郷のトンガに暮らす妹から電話を受けた。

 「怖い、怖い」。いつもと違って、妹の声は焦った様子だった。
電話口から、ゴロゴロと雷のような音が鳴るのが聞こえる。妹の幼い子どもたちの泣き声も。
現地のラジオが噴火の発生とともに、「津波に気をつけて」と伝えているのがわかった。

 妹に聞いたところ、噴火した辺りからか、妹の自宅まで細かい石が屋根に飛んでくるという。
「空が赤くて、黒っぽいガスが立ちこめてる」。そう訴える妹を「大丈夫、絶対に外には出ないで」となだめ続けた。

 いったん電話を切り、仕事で出かけていた和歌山から大阪に戻った。午後4時にかけ直すと、電話はもうつながらなくなった。

SNSでメッセージを送っても「既読」にならない。
ふだんは毎日更新するという故郷の知人たちのフェイスブックを見ても、新たな投稿をしている人はいなかった。不安が募った。

妹は母親とおばと、小さい子ども3人と暮らす。
「心細くて電話してきたんだろう」とタウファさん。「自宅は海から離れているが、無事だということだけでも知りたい……」。
自身のフェイスブックに情報を求める書き込みをして、電話の復旧を待っている。

https://www.asahi.com/articles/ASQ1J4CXSQ1JUTIL01B.html