破損本ではありません…韓国で「ヌード製本」書籍が人気(朝鮮日報日本語版)
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つなぎ目が感じられないよう滑らかに開くことが要求されるのは、折り畳みスマホだけではない。韓国出版界で最近脚光を浴びている「ヌード糸とじ製本」(ヌード製本)とは、本を180度ぱっと開けるように作るやり方のこと。本を開くとき、中央部分が挟まれておらず、滑らかに開く。紙束を幾つも糸でつづり合わせた後、本の背の部分を表紙で覆わずに仕上げ、糸がそのまま見える製本法だ。
文章と同じくらいイメージ情報の伝達が重要な本が増える中で、かつてはまれだったヌード製本が増えつつある。2021年12月に出た『いらっしゃいませ、ネコ食堂へ』(文学トンネ刊)、『分かればほれる地図』(太学社刊)、『VEKE、七つの季節を抱える九つの庭園』(木手書房)などが、この手法を活用している。それぞれネコの写真、古地図の図版、庭園の風景を多数収めている。これらの本に載っている写真や図版は、見開きの一方のページにとどまらず隣のページにまで「侵犯」している。ヌード製本の書籍は開いたときに中央部分が「かもめ」型に屈曲せず、平たんになる特徴を活用したのだ。中央部のとじ代を残した部分がないので、このような編集を行ってもイメージ全体がそのまま見える。
ヌード製本は比較的古い手法なので、実物の本を見ることなくオンラインで購入した読者が「本が破損しているのではないか」と問い合わせてくることもある。しかし、厳然たる意図を込めた製本法だ。本の背に露出した糸もデザインの要素の一つ。庭園の本は緑の糸で、ネコの本は黄色の糸でポイントを付けた。
ヌード製本は背にタイトルを書くことができず、書架に立てて置くと、どういう本なのか読者が分からなくなるという短所がある。各出版社は、タイトルを書いた帯を巻くという方法でこの問題を解決している。書架に立てて並べた本よりオンラインで、もしくは書店の台に平積みされた本を買う比率が高くなっていることも、出版社が新たな試みをするに当たってあまり負担を感じていない理由だ。本を開いた状態が保たれるので、読書台なしで読むことができるのも、ちょっとした長所だ。
『いらっしゃいませ、ネコ食堂へ』を編集した文学トンネのイ・ヨンシル編集者は「印刷の期間が2倍に増え、制作費も増えるが、図版の写真が多い本の場合は著者や読者の満足度が高いので十分甘受できる」と語った。
ヌード製本の拡大は、紙の本の消費より電子書籍や動画の消費が増える状況において、読者に「本だけが提供できる経験」を届けるための方法でもある。出版評論家のピョ・ジョンフン氏は「本もディスプレーだということができ、写真・図版が重要な本は読者により充実した視覚体験を提供できる形を備える」とし「今後、もっと多様な試みがなされるだろう」と語った。
ヤン・ジホ記者