東大刺傷事件で逮捕された少年は医学部志望 “神童”でも苦悩しもがく超難関校の過酷

<被害にあわれましたご本人様には、心より申し訳なくお詫び申し上げます。
一日も早いご回復をお祈り申し上げますと共に、ご家族、ご関係者の方々にも併せてお詫び申し上げます。
現在、警察による捜査段階で、私共がこの件に関して行動することを控えるよう言われておりますので、
被害者様へのお詫びにもお伺いできず、心苦しい限りです。このたびは誠に申し訳ございませんでした>

東大刺傷事件 名古屋在住高校2年生の犯行を「受験生」と報じたメディアのとんちんかん

 15日、大学共通テストの会場である東京大学農学部正門前の歩道で、受験生を含む3人が突然切り付けられた事件で、
殺人未遂容疑で逮捕された名古屋市内の私立高校2年の少年(17)の父親が、代理人弁護士を通じてこうコメントした。

 少年が通う高校は、9日に亡くなった海部俊樹元首相や、フリマアプリ「メルカリ」創業者の山田進太郎氏(44)などが卒業した
愛知県内随一の難関校といわれ、国公立大学の医学部進学実績は全国でも群を抜いているという。
実際、少年は取り調べに対し「医者になるために東大を目指して勉強を続けていたが、1年くらい前から成績が上がらず、自信をなくしていた」
「医者になれないなら死のうと思った」、また「東大を受験する予定だったが、勉強しろとの圧力が強く勉強が嫌だった」などと供述している。

■周囲の期待に応えられなかったケースも

「神童クラスの生徒が集まってくる超難関校でも、落ちこぼれる生徒は必ず出てきます。
理由は高校受験で燃え尽きてしまったり、入学後に成績が伸びず井の中の蛙だったことを思い知らされたりと、さまざまです。
なかには中途退学して、通信制高校に転入したり大検で大学を受験したりするケースも決して珍しくありません。
成績が下位のまま進級できても、結局、MARCHより下の偏差値の大学にしか合格できなかったり、周囲から期待された、
自らが望んだ進路に進めなかったという生徒も少なからずいます」(都内の進学塾講師)

 傍からは過酷な受験競争を勝ち抜き、将来を約束されたエリートと思われても、その内実はさまざまだという。

「医学部志望の生徒の多くが代々医師の家庭であることがほとんどですが、
『医学部に合格して当然』といった親や周囲のプレッシャーに押しつぶされるケースを何度も見てきました。
昨今は医学部人気の高まりもありますが、何年も浪人した末、結局医学部に合格できず、
医師の親が経営する介護施設の施設長におさまった生徒が過去にいて、本人は今では吹っ切れて気楽に生活しているようですが、
そこに至るまでさまざまな苦悩があったといいます」(前出・進学塾講師)

 少年が通っていた学校は、次のコメントを出している。

<「密」をつくるなという社会風潮のなかで、個々の生徒が分断され、そのなかで孤立感を深めている生徒が存在しているのかもしれません。
今回の事件も、事件に関わった本校生徒の身勝手な言動は、
孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされたものと思われます>

 コロナ禍で悩みを抱えた生徒の孤立感があったというが、少年の心の闇は誰にもわからないだろう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/60066b922cdff1a28d9a0d236d3af58485f573c0