《ブラジル》エルザ・ソアレス死去 音楽界最長老の女性闘士 ガリンシャ元夫人波乱の人生
https://news.yahoo.co.jp/articles/f470ec46abc242328ed536fb3e16b647a1ad602e

 90歳を超えるまで息の長い活動を続け、音楽界に強い影響力を与えてきた女性歌手エルザ・ソアレスが20日、
老衰のために亡くなった。91歳だった。伝説のサッカー選手ガリンシャの元夫人、
軍政に反対して女性の権利のために戦った闘士としても知られた。
20、21日付現地紙、サイトが報じている。

 エルザは20日15時45分、リオ市の自宅で亡くなった。死因は老衰だった。
知人の話によると、彼女はこの日も通常通りに理学療法を行い、息が乱れた時も「大丈夫」と答えたが、
その後、「もうすぐ死ぬと思う」と語ったという。
これを聞いた家族が医師を呼んだが、約40分後に息を引き取った。

 エルザは晩年まで活動を続け、1カ月前にはパラー州ベレンでの音楽フェスティバルのステージに立ち、
死の2日前にはDVDの収録も行った。

 エルザは1930年にリオ市のファヴェーラで生まれた。
生活環境は劣悪で、12歳で強制的に結婚させられた後、13歳で出産。
21歳で夫と死別するまで、次男が急死し、1歳だった末娘が誘拐されるなど、波乱万丈の日々を過ごした。

 歌手としての活動開始は30歳と遅く、1960年にオデオン社と契約した。
デビュー後は間もなく、サンバ歌手として注目され、リオのサンバ会場サプカイーで初めて歌い手を務めた女性になった。
1962年、当時ペレと並んでブラジル・サッカー代表の中心選手だったガリンシャと結婚した。

 この時期はヒット曲も出し、順調に見えたが、1964年6月には陸軍秘密警察の威嚇行為を受けている。
彼女は、「ジュセリノ・クビチェック、ジョアン・グラール両大統領と親密だったからだろう」と語っている。

 また、1969年にはガリンシャの飲酒運転でエルザの母が事故死。
ガリンシャのアルコール中毒に伴う家庭内暴力で1982年に離婚。
翌年にはガリンシャが亡くなるなど、波乱が続いた。

 その後、ベテランのサンバ歌手としての名声や、反軍政、反家庭内暴力といった活動故の賞賛が高まると、
若い音楽家たちにもその影響が浸透した。

 85歳となった2015年に未公開の曲だけを集めて発表した最初のアルバム
「ア・ムリェール・ド・フィン・ド・ムンド」は、「世界の終わりの時まで歌う」という決意を込めたもので、
ヒップホップやエレクトロ、ジャズ、ロックの影響を受けた斬新なサウンドを展開。
国内だけでなく、米国や欧州でも絶賛され、80代にしてキャリア最大の成功を収めていた。