【香港=木原雄士】
不動産開発の中国奥園集団は19日夜、20日と23日に満期を迎える米ドル建て社債を償還せず、
他のオフショア債務も返済しない方針だと発表した。
オフショア債務について「債務不履行(デフォルト)が起きるか、すでに起きた」と認めた。
オフショア債務の総額は現時点で10億8600万ドル(約1200億円)という。

奥園は広州を拠点に不動産開発や販売、投資を手掛ける中堅不動産会社。
2021年12月に格付け会社S&Pグローバルが部分的なデフォルトに相当する「SD」に認定していた。

奥園は上場する香港取引所への開示で「資産売却の機会を積極的に模索してきた。
投資家と予備的な協議を行ったが、合意は結んでいない」と指摘。
「流動性を慎重に検討し、債務再編の実施中に債権者間の公平性を維持するため不払いを決定した」と説明した。
今回満期を迎えるものとは別の社債の利払いも実施しない。

格付け会社フィッチ・レーティングスの鄭俊英氏は「22年も中国の不動産会社に厳しい環境が続く。
資金繰り悪化の圧力にさらされ、デフォルトにつながる可能性がある」と話す。
多くの不動産会社は資本市場での調達が難しくなり、中国本土で社債を発行できたケースも、
調達コストが上がったという。

フィッチは22年1月、中国大手の広州富力地産を部分的なデフォルトと認定した。


https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM202OY0Q2A120C2000000/