アップルのiPhone用AシリーズチップやMac用のM1チップなどを製造するTSMCの技術が、半導体大手インテルよりも何年も先を行っていることは周知の事実です。そのインテルが2025年までに、TSMCが2019年に導入済みのチップ製造技術に切替えると発表したことが注目を集めています。

米CNETによると、インテルはプロセッサ製造の主導権を取り戻す取組みの一環として、オランダの専門企業ASMLに新世代の半導体製造装置の1台目を発注したとのこと。この装置は「TwinScan EXE:5200」と呼ばれ、2025年の操業開始に向けて2024年に納品される予定と伝えられています。

この装置は1台あたり平均3億4千万ドルを要するものの、プロセッサの進歩に不可欠とのこと。要はスマートフォンやPC、データセンターの進歩を支える製造プロセスルール(回路線幅)の微細化に必要な機械というわけです。

さて問題は、ASMLの装置が微細な加工を行うために「フォトリソグラフィ」技術を使うと謳われていることです。フォトリソグラフィとは、シリコン基板などに感光剤を塗布し、所定のパターンを紫外線などで照射し、回路などのパターンを形成する技術です。

そのうちEUV(極端紫外線)を用いるものはEUVリソグラフィと呼ばれ、すでに2019年のA13 Bionc(iPhone 11に採用)製造に使われていました。またサムスンも1年以上前から、DRAMの量産に活用しています。

もちろんASMLもインテルも「Twinscan EXE:5200」がより進歩したEUV装置だと主張しており、それは間違いないとは思われます。が、結局のところ「インテルがまだEUV技術を導入していない」ことや、新型装置による生産が2025年まで始まらないことも事実です。

インテルのパット・ゲルシンガーCEOは、M1チップなどAppleシリコン(アップル独自開発チップ)が優秀と認めつつも、自社はそれより優れたチップが開発できると示唆し、いずれMacビジネスを取り戻したいとも語っていました。

しかしインテルのチップ製造技術がTSMCに追いつくのは、最速でも2025年以降のことになりそうです。MacBookなどにインテル製チップを再び採用してもらえるのは(クリエイティブのプロ向けであるMac Proを除いて)見果てぬ夢となるのかもしれません。

https://japanese.engadget.com/intel-will-use-tsmc-2019-process-2025-062519723.html