ロシアがウクライナに対する軍事圧力を強める中、フランスのマクロン大統領は19日の演説で、欧州連合(EU)によるロシアとの対話の必要性を訴えた。21日に開かれる米露外相会談を前に、欧州の安全保障が「EU抜き」で決められることを警戒し、独仏、ロシア、ウクライナ4カ国による枠組み協議の再開を求めた。

マクロン氏の演説は、EU議長国としてのフランスの方針を示すもので、仏ストラスブールの欧州議会で行われた。

マクロン氏は、ロシアと欧州が地続きであることに触れ、「我々の大陸を不安にする動きについて、(EUは)統一した対応をとるべき」と主張。EUによる4カ国協議の支援を促した。また、欧州の「安全保障の新秩序」構築に向け、まずEUが提案をまとめ、米主導の北大西洋条約機構(NATO)と協議して、ロシアとの交渉に臨むべきだとも述べた。

4カ国の枠組みは、2014年のウクライナ東部紛争の際に発足した。15年にはこの枠組みで和平合意の調印を実現させたが、紛争は再燃。4カ国協議は19年を最後に中断されている。

ドイツも、フランスと共に4カ国協議の再開を目指している。ショルツ独首相は19日、オンラインの国際会議「ダボス・アジェンダ」で、「ただ沈黙していることは、賢明な解決策ではない」と述べた。

仏独は昨年11月、4カ国協議の再開を目指したが、ロシアは参加を拒否。米国との対話を優先した。EUは独自安保構築を目指すものの、最大の課題である対ロシア政策では、制裁圧力をちらつかせるだけで目下、出番がない。


欧州では、英国が17日、米国に続いてウクライナに軍事支援を行う方針を表明した。対戦車兵器を供与し、訓練用の人員も派遣する。一方、ドイツは外交を優先し、ウクライナへの武器供与はしないと表明している。https://www.sankei.com/article/20220120-AICPUWUGSRN5FHVKVMFK34ODPQ/