博士課程を修了した人の翌年度の年収は、男性で最も割合が高い層は「400万〜500万円未満」だったのに対し、女性は「300万〜400万円未満」だったことが、25日に発表された文部科学省科学技術・学術政策研究所の「博士人材追跡調査」でわかった。女性が多い人文科学分野の年収が低いことが一因とみられ、男女間の格差の改善が必要だとしている。

 2018年度に博士課程を修了した1万5658人に聞き、3894人が答えた。調査は20年11〜12月に実施、回答率は25%だった。

 年収を「収入なし」から「1500万円以上」まで15区分すると、割合が最も高かったのは男性が「400万〜500万円未満」で14・8%、女性は「300万〜400万円未満」で14・3%だった。800万円以上の割合は男性が26%なのに対し、女性は12・7%と半分以下だった。

 分野別では保健(医師、歯科医師ら)が「1200万〜1500万円未満」で最も高く、工学は「400万〜500万円未満」、社会科学と理学が「300万〜400万円未満」、農学が「200万〜300万円未満」、人文科学は「100万〜200万円未満」だった。

 回答者の自由記述では、「女性博士は出産後に就職活動が難しい。妊娠を報告すると給料が落とされ、残業代も出ないパワハラもある」「非常勤講師だけでは餓死しかねない。専門的な教育を受けた結果があまりに無益。待遇改善を国家的プロジェクトとして推進してほしい」「特に文系に多いと思うが、非常勤講師を複数担当している。講義以外にも時間を割かれ、研究時間だけでなく心身ともにむしばまれている」などの声があった。(桜井林太郎)

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