日本電産創業者の永守重信会長が、最高経営責任者(CEO)を譲った日産自動車出身の関潤社長に対する失望感を強めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  関係者らによると、永守氏(77)は昨年末ごろ、高い収益力で成長を続けてきた日本電産に最近ほころびがみられるとし、低収益企業からの中途入社の増加で持ち込まれた諦めや怠けなどの悪習で汚染されていることが原因だとの見方を社内で示した。

  特に主力事業の一つである車載事業で業績が悪化していると認識しており、同事業の再建は自身が責任を持ち、短期でやり抜くと強調した。関係者の1人によると、関氏は昨年12月から、本来であれば関氏を必要としないような顧客との交渉のためにドイツに長期滞在している。

  関氏(60)の入社以降、車載事業で計画未達が続いたために日本電産の相対的な業績は悪化したとし、経営力の低い人物をトップに据えたのは判断ミスだったとの見方を明らかにした。任命責任は自身にあり、外部からの人材を後継者にする考えそのものが甘かったとの見方も示したという。日本電産はコメントを控えた。

  日本電産の株価は25日、6日続落となり一時前日比5.6%安の1万420円まで下落し、1万545円で取引を終えた。終値ベースでは2020年10月21日以来の安値となる。同社株は今年に入って20%以上下落している。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、日本電産のような一人のカリスマが重要な役割を担う会社で後継者問題が続いていることは「株価下押しの要因になる」と指摘。世界的企業に成長しており、「企業統治のあり方や組織運営は小さかった時と同じようにはいかないのではないか」との考えを示した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-24/R66VQDT0AFB401