https://news.yahoo.co.jp/articles/5fb633c429f9d30071bd205e56bfdf64cd9a613f
肉業界のサラブレッドが炭火焼きステーキ店をオープン! 和牛サーロインの脂が驚くほど軽く感じる“ナスキロ焼き”とは?
自由で楽しくておいしい! だから行きつけにしたくなる!
「ナスキロ」のオーナーシェフ、高山いさ己さんは浅草の老舗焼肉店「冨味屋」に生まれ、幼少期から週6で焼肉を食べ、肉の英才教育を受けて育った。店の休日は母と外食巡りをし、18歳から料理の道を歩んできた高山さんはいわば“肉業界のサラブレッド“だ。イタリアから帰国後、都内数店でシェフを務め独立、神楽坂に「アンティカ・オステリア・カルネヤ」をオープンした。それまでになかった“肉イタリアン”は立地として決して良いとは言えなかったが、連日満席。その後、携わった西麻布「カルネヤサノマンズ」、日本橋「si si煮干啖」、虎ノ門「si si煮干啖 虎ノ門店」など、東京の飲食シーンで次々にムーブメントを起こしてきた。
2021年7月に、高山さんのプライベートサロンとも呼べる紹介制のステーキハウス、「ナスキロ」がオープンした。高山さんの焼く肉のおいしさは言うまでもないが、店のユニークなシステムが人気に拍車をかけている。そのシステムとは、その日に用意されたひとり200gの肉から1種類、または100gずつ2種類の食べ比べかを選び、肉が焼きあがるまでの3~40分間、前菜を好きなだけ食べて待つ、というものだ。
肉が焼けるまでの間に楽しむ前菜はお代わり自由の27種類。「内臓は寂しがり屋だからすべての内臓を一緒に茹でて下処理する事で抜群に香りが良くなります」と、どこまでも食材に寄り添って作った「ハチノスのボリート」や、日本の食材を生かした「カブのポタージュと柿のマリネ」など、本場で修業した高山さんならではのイタリアン惣菜が並ぶ。
「おいしい肉は触った瞬間にわかります」と高山さんが山形牛の表面をサッとなぞると指には溶けた脂がキラキラと光る! これだけ融点が低いとサシの入り方も芸術品のように美しく、まさに最高級クラスだ。そのまま食べてみると舌触りはトゥルントゥルン、肉質はやわらかで口溶けが良く、脂は驚くほど甘く軽やか。この肉をひとり分ずつカットするのだが秤を使わなくともほぼ外れることがないという天才的な感覚を持つ。
これら最高の状態の和牛サーロインを最高においしくするために、高山さんがたどり着いた新たな焼き方が「ナスキロ焼き」だ。近くて強い火が作れる炭を使い、肉が熱に触れている「緊張」と、熱に触れない「緩和」を繰り返して焼き切る。噛みしめると待っていたかのように肉汁が堰を切って溢れ出し、そのあとは滋味深いうまみの余韻にいつまでも浸っていられる。
「前菜と肉でかなりお腹は膨れているはずなのに、まだ食べたいっていう人が多いんです」と、ステーキの後にも「カチョ・エ・ペペ」「トマトソース」「レモン&魚醤」などパスタが6種類、「ビフカツ」「ビーフソテー」、煮干しを使ったお馴染みの「煮干しビーフカレー」、そしてサーロインを使った「肉吸い」と、魅力的なメニューが盛りだくさん。さらに「カンノーロ」「ティラミス」などデザートまでも楽しめ、とてもワンオペとは思えない充実っぷり。
どうしてこのようなシステムにしたかと問うと、「どこもやってなかったから」と言う。「僕、コースの何が嫌いかというと、次の料理が出てくるまでテーブルに何もない状態で待つことなんです。だからメインを待つ間、前菜を何回でもおかわりできるステーキ屋さんを作りたかったんです。肉はひとり200gと決まっているので、自分のお腹具合と相談しながら好き勝手できるっていいでしょ?」と話す。大人が自由に遊べるレストランの誕生だ。