“言いだせない”狙ったか 性的少数者が被害|NHK 岡山県のニュース
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20220125/4020011619.html
去年、岡山県で19歳の少年などのグループが、SNSで知り合った複数の男性に暴行を加えたり、現金を脅し取ったりしたとして逮捕されました。
捜査関係者によりますと、被害にあったのはいずれも性的マイノリティー向けのマッチングアプリの利用者で、逮捕された少年は「被害を言い出しにくいと思って狙いをつけた」と供述したということです。
被害者の1人で岡山市に住む30代の男性がNHKの取材に応じ、実態を語ってくれました。
男性は同性に対して恋愛感情があり、主にゲイなどの性的マイノリティーが利用するマッチングアプリで、交友関係を広げていました。
「出会いなどの場に行くのを見られた場合は、周りにゲイだと知られてしまうが、アプリであれば、知られずに人と会う事ができる。周りを気にせずに自分の親しくしたい人と出会えるツール」だと言います。
ところが、そのアプリが悪用されたのです。
去年8月男性は、アプリで19歳の少年と知り合いました。
すぐに会おうと持ちかけられ、場所はホテルを指定されました。
部屋に入り、シャワーから出たところで裸の動画を撮影され、少年は17歳だと年齢を偽り「バレたくなければ100万円を出せ」と脅してきたと言います。
男性が断ったところ、殴る蹴るの暴行を受けました。
「とても怖かった。相手が未成年であると言ってきたので本当であればその怖さと、周囲にゲイだとばれてしまう怖さもあった」男性は事件を振り返り、そう話しました。
捜査関係者によりますと、逮捕された少年は調べに対し「金が欲しかった。ゲイなどの性的マイノリティーを狙えば通報されることもないだろうと考え、このアプリを使った」と供述したということです。
警察は、少年らによる同様の事件は10数件にのぼり、脅し取られた金額は合わせて100万円以上と見ています。
しかし、被害を届け出れば性的マイノリティーであることが明らかになるため、泣き寝入りした人も多いということです。
取材に応じた男性は、そうした事情につけ込んだ手口に怒りを感じるとともに、もっと社会の理解が広がり、被害を相談しやすくなればと願っています。
「性的マイノリティーへの認知は上がってきているが、珍しいもの見る形なのが現状だ。身の回りにいることが当たり前になって、そして当たり前に自分の権利を行うことができる世の中になれば」。
取材に応じてくれた男性は、警察が親身に話を聞いてくれたので勇気を出して被害届けを出したそうです。
ただ、今でも人と会う際には恐怖心を感じることがあり、家族や親しい人にも性的指向を明かしていないため、1人で悩んでいるということです。
性的マイノリティーの人たちがあなたの近くにもいて、悩みを抱えていることを知ってほしいと思います。