「再発防止策」生かせず ずさんなチェック、次々と NHK不適切字幕問題
NHKが昨年12月に放送したBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」が事実に基づかない不適切な字幕を放送した問題で、制作側のずさんなチェック体制が次々と明らかになっている。NHKでは平成26年に放送した「クローズアップ現代」のやらせ疑惑を受け、翌年に再発防止策を導入したが、生かすことができなかった。
■やらせは否定
「チェック機能が十分に働かなかったことが、一番大きな問題だ」
NHKの前田晃伸会長は13日の定例会見で、一連の問題の原因が「チェック機能」にあったと述べた。五輪反対派をおとしめる意図を疑う一部の見方については、担当者が「密着取材の中で見つかったさまざまな考えの人を入れようということで、最初から狙いを持って意図して編集したものではない」と否定した。
問題の番組はNHK大阪放送局が制作し、昨年12月26日に放送(30日に再放送)された。今年公開予定の東京五輪公式記録映画の監督を務める河瀬直美さんら制作チームに密着し、選手・市民の取材や、撮影した映像の編集作業を追ったドキュメンタリーだ。
問題となっているのは、公式映画スタッフの映画監督の島田角栄さんが競技場の外で出会った男性から話を聞く場面。男性は匿名で顔にぼかしが入っており、映像には「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕が添えられた。しかし、男性が五輪反対デモに参加したかどうかは現在まで確認できていない。
NHKの説明によると、島田氏が男性を取材した際にNHKのディレクターも補足で男性を取材。男性は「これまで(五輪以外の)複数のデモに参加して現金を受け取ったことがある」「五輪反対デモにも参加しようと思っている」という趣旨の発言をした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c8f58082437a0f88cc1733a1a614ffcad9c9a646