政府は24日、来年2月の北京冬季五輪・パラリンピックに、閣僚や政府高官ら政府関係者を派遣しないことを決めた。松野博一官房長官が同日午前の閣議後会見で発表した。日本オリンピック委員会会長の山下泰裕氏と参院議員で東京大会組織委員会会長の橋本聖子氏は、現地で開かれる国際オリンピック委員会の総会に合わせて出席する。

 松野氏は「自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国においても保障されることが重要であると考えている。北京冬季大会への政府の対応は総合的に勘案して判断した」と説明した。米国や欧州と足並みをそろえた「外交ボイコット」となる。人権重視の外交姿勢を強調する狙いがある。ただ、最大の貿易相手国である中国との関係悪化は避けられそうにない。

 米国が6日、新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル族らへの弾圧など中国の人権問題への懸念から政府当局者を派遣しないと表明。英国、豪州、カナダも同調し、ニュージーランドも閣僚レベルを派遣しないと明らかにした。一方、2024年にパリ夏季五輪を控えるフランスは同調しないとし、韓国も検討しないとしていた。

 与野党からも政府代表を送らないよう求める声が相次いでいた。超党派の国会議員連盟は14日に首相官邸で、首相に外交ボイコットを要求。自民党の外交部会と外交調査会も23日、速やかに外交ボイコットを決めて公表するよう求める決議を林芳正外相に提出した。https://www.asahi.com/articles/ASPDS2VWWPDSUTFK002.html