クロマグロ「大間」のブランド汚すヤミ漁獲、行政と漁業関係者が払うツケ
https://diamond.jp/articles/-/290635?page=2

(一部抜粋)

日本の近海に産卵場がある太平洋クロマグロは一時、資源枯渇の恐れもささやかれていた。
魚の乱獲に厳しい米国政府や環境保護団体から非難され、最大の生産国であり消費国でもある日本は
10年前から漁獲抑制に取り組んできた。

「漁業者が苦労して取り組み、資源が回復したことが国際的に認められた」。
初めての増枠。それを発表する記者会見で水産庁審議官の高瀬美和子は、
日本の漁師たちの我慢や努力をたたえることを忘れなかった。しかし、この思いやりあふれる高瀬の発言も、
国からヤミ漁獲の調査を促された青森県や大間漁協の幹部たちには痛烈な皮肉と映ったことだろう。

(中略)
 事の発端は地元紙・東奥日報11月5日付のスクープ記事。
「大間マグロ漁獲無報告、一部が脇売り」という大きな見出しが躍る。

「脇売り」とは、漁師が所属する漁協を通さずに出荷することだが、そうした出荷方法それ自体は違法ではない。
他への出荷を妨害した農業協同組合が独占禁止法違反に問われたケースは数多くある。
生産者が複数の出荷経路を持つことは、競争上むしろ好ましいくらいだ。

 問題は脇売りした漁師たちがマグロの尾数や重量を青森県に報告しなかったことにある。
報告のごまかしや未報告、つまり「ヤミ漁獲」は違法であり、懲役や罰金の罪にも問われる事件となる。

 国や県は告発する前に漁業者に自主的に報告を修正するチャンスを与える。
東奥日報も続報で、県の指示を受け漁協が調査したところ今年6月から9月までの分として
約14トンの未報告が判明し、漁獲報告を修正したと伝えた。