岸田文雄首相は、「佐渡島の金山」(新潟県)について、ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界文化遺産への推薦を決断した。韓国側はこれまでも「強制労働があった」と根拠もなく反発してきたが、早速、推薦撤回を要求してきた。岸田政権は官邸内に「歴史戦チーム」を設置し、「歴史の真実」を国際社会に訴え、国益を守り抜く構えだ。

【写真】安倍元首相

「本年、申請を行い、早期に議論を開始することが登録実現への近道であるとの結論に至った」

岸田首相は28日夜、こう語り、2月1日に閣議了解する方針を示した。

来年6月にユネスコの「世界遺産委員会」での登録を確実にするため、岸田政権は官邸内に、滝崎成樹官房副長官補をトップとする省庁横断型の作業部会(タスクフォース)を設置する。韓国などから疑義が呈された場合、一つ一つ証拠を挙げて反論する、いわば「歴史戦チーム」だ。

これには前例がある。安倍晋三政権時代の2015年、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録が決まった。韓国はこのときも、長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)で「強制連行があった」と反発してきたが、安倍元首相は「歴史戦チーム」を立ち上げて、対峙(たいじ)した。

安倍氏は、夕刊フジの取材に、「いまこそ、新たな『歴史戦チーム』を立ち上げ、日本の名誉と誇りを守り抜いてほしい」(26日発行)と、岸田首相にエールを送っていた。

これに対し、韓国は反発した。韓国外務省の崔鍾文(チェ・ジョンムン)第2次官は、相星孝一駐韓大使を呼び、抗議してきた。

韓国外務省は「佐渡金山は第2次世界大戦時に韓国人(朝鮮半島出身労働者)が強制労働の被害にあった現場だ」などと主張した。

ただ、当時の労働環境をまとめた資料『佐渡鉱山史』(大平鉱業佐渡鉱業所)や、佐渡鉱業所『半島労務管理ニ付テ』などには、「日本人と朝鮮人労働者はおおむね同一の賃金で、複数回の賞与が支払われた」「無料の社宅や寮があり、米やみそやしょうゆの廉価販売があった」「運動会や映画鑑賞会など、娯楽機会の提供があった」などと記されている。

岸田政権は、韓国を含めた世界各国に冷静に事実を伝え、理解を求めていくしかない。https://news.yahoo.co.jp/articles/2c0fad518c650256418cc1ab3a1f268526734ad6